秋の気配:オフコース
高校生の頃、世間ではオフコースがすごく流行っていました。
でも、その頃は浜ショーさんなどの硬派系ロックも全盛期だったので、思春期の男の子にとって、ストレートに恋愛を歌うオフコースの歌に惹かれつつも、表だってファンだと言うことはちょっと気恥ずかしく感じられ、「隠れオフコースファン」が少なくありませんでした。
当然私もその1人です。
オフコースの名曲は本当に数え切れないくらいありますが、今の時期にぴったりなのは、やはりこの歌ですね。
「あれがあなたの好きな場所 港が見下ろせるこだかい公園」
アコースティックギターのイントロから、小田さんの澄んだ声で、ごくなにげない恋人たちのごくなにげないひとときが描かれます。夏から秋にかけての透明感を増しつつある空が目に浮かぶようです。
「あなたの声が小さくなる ぼくは黙って外を見てる」
本当に何気ない2人の静かな時間。きっと、ずっとこんな時間が続くことを2人は願っているのでしょう。しかし、サビのところで様相が変わります。
「こんなことは今までなかった ぼくがあなたから離れていく」
2人の心に、ほんの少しほころびが見え始めてきます。きっと、2人の間に特になにか大きな出来事があった訳ではないのでしょう。「ぼく」もずっと彼女のことを好きで居続けたいと願っていたのでしょう。それでも、知らず知らずのうちにすれ違う心に気付いてしまい、そのことにとまどいと罪悪感を感じている「ぼく」・・・。
このサビのフレーズの切なさが何とも胸にしみて、とても好きでした。
2番になると
「大いなる河のように、時は流れ戻るすべもない」
と更に無常感が強くなってきます。
愛し合っていても、それをずっと続けることは難しい。ささいな理由でほんの少しすきま風が吹き始めると、一生懸命にそれを修復しようとしてもどうにもできず、だんだん2人の間の溝が大きくなっていく・・・。どうしようもないはかなさともどかしさ・・・。
好きなのに離れていく、そんなシチュエーションでもがき苦しむせつなさが、「大人の世界のほろ苦い恋愛」を思わせて、高校生の私にはとても奥深く感じられたものでした。
あれから20数年、今では「秋の気配」どころか、それを大きく通り越して「氷河期」を迎えてしまったご夫婦のトラブルに携わる仕事をしていようとは思いもよりませんでしたが・・・。
人生、せつないことはせつないですが、歌みたいにきれいな世界という訳にはいきませんね。
でも、だからこそ我々の出番もある訳なんですけどね。
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