重力ピエロ(映画版)
以前「書籍」のカテゴリーで紹介した重力ピエロが仙台を舞台に映画化されました。
宮城県では全国に先駆けて先行上映されてますので、早速見に行ってみました。
原作の雰囲気や世界観をかなり忠実に再現していると思います。
原作にある印象的な台詞も結構そのまま使われていて、伊坂ファンも納得のできあがりです。
原作ではミステリー性が前面に出ていましたが、映画版では、過酷な運命に翻弄されながらも強く生きていこうとする家族のエピソードがところどころに挿入され、それがストーリーの本線と重層的に物語を織りなしていて、感動を呼びます。その構成は、物語のキーワードともなっている「二重らせん」を意識させられます。
扱っているテーマは結構深刻なので、映画になったら重くならないかなと思っていましたが、小説での伊坂氏の軽妙な筆運びを、映画では家族のエピソードで代替することによって、原作の独特な世界観をうまく表現しているように思いました。
原作の冒頭の1文と、それに引き続くエピソードが映画でもほぼそのまま再現されていますが、ここの部分が実に複雑な暗示に富むものであることが、映像で見ると原作以上に強く印象に残ります。
改めて、伊坂氏の原作が実に周到に伏線を張り巡らせたものであることを再認識させられました。
できれば原作を読んでから見ていただきたい映画だと思いますが、先に映画を見ちゃった方は後からでも原作を是非読んでみてください。
仙台の町並みがたくさん映っていたのも仙台市民としては楽しいところでした。
仙台って、中心部は都会ですが、ほんの少し外れると、昔ながらの風情が残る下町風の町並みが結構あります。そんな仙台の雰囲気をよく切り取っているな~と、感心しました。
事務所のすぐ近くのお店も終盤の大事な場面でロケに使われていて、びっくりしました(いつの間に撮影してたんだろう?)。
ともあれ、家族の絆を感じさせられる感動的な作品です。是非ご覧ください。