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引き続き弁護士業務広告について

前回に続いて弁護士業務広告についての私の考えを述べてみたいと思います。

平成12年に日弁連で弁護士業務広告が原則解禁された際、私は解禁にはあまり賛成ではありませんでした。

アメリカではアンビューランス・チェイサー(事件に困った弁護士が、事件を求めて救急車の後を追いかける)という言葉まであるそうですが、そんな風に弁護士が自分から事件を追いかけたり事件あさりをするようなことになると、弁護士への信頼が丸つぶれになると思っていたからです。

また、我々の仕事は法律扶助事件や国選事件など、単体ではあまりペイしそうにないボランティア的な事件でもやらなければなりません。もちろん、強制される訳ではないのですが、弁護士自治や法律事務の独占が認められている以上、そういうものもきちんと引き受けるということが職業倫理であるとして脈々と受け継がれてきた土壌があるからだと思います。

更には弁護士会内の委員会活動のように、全く無償でも社会のために必要と思うことについては調査研究をしたり声をあげたりなどもしています。

広告解禁によって弁護士業務が商業化していくことは、そういったボランティア的な活動の衰退(引いては職業倫理の荒廃)につながるのではないかと思っていました。

ただ、医師の世界でもインフォームドコンセントやセカンドオピニオンが重視されるようになるなど、今の時代はユーザー側の選択権が非常に重要になっており、我々専門職も、それを尊重しなければならない時代だと思います。

そのための方策として、業務広告が有益であることは事実でしょう。また、個々の弁護士にも営業の自由があります(あまり、弁護士業務を「営業」とは言いたくないのですが)。

実際、私の事務所もHPを持っていますし、こんなブログをやっているのも、私がどういう人間か、どういう考え方かを少しでもユーザーの方に知っていただき、その上でご依頼いただきたい方はご依頼いただくというのがお互いの幸せのためだと思っているからでもあります。

広告解禁前はもっぱら弁護士会が窓口になって弁護士を紹介するという形でユーザーのニーズに対応していた訳ですが、要は、総体としての「医師」なり「弁護士」なりという専門職それ自体を信頼してくれという「押し着せの信頼感」が社会にはもう通用しなくなっているのではないかと思います。

安心して任せられる弁護士もいればそうじゃない弁護士もいる、ということが前提で、それだから誰を選ぶかはユーザー側の自由な判断に任せて欲しいということなんだろうと思います。

そう考えると、現時点において、平成12年以前のように全面的な業務広告の禁止に戻るということは難しいと思いますし、私もそこまでいうつもりはありません。

ただ、弁護士業務の合理化・商業化が過ぎると、何らかの形で依頼者の方にしわ寄せが行ったり、不満の種になったりします。

一定程度、そういう状況が生じた事務所については、職業倫理の点からも、弁護士としての品位保持の点からも、弁護士会として一定の規制をするということも考えて良いのではないかというのが、前回の意見の趣旨な訳です。

あとは、広告の内容についても、例えば、いたずらに依頼者にとって良い結果を約束するようなものはもう少し厳しくチェックするなど内容面での規制強化もあっていいのではないかと思っています。

広告規制の問題は別としても、弁護士としての職業倫理は次の世代にもなんとか伝えていきたいとも思うのですが、そういう考え方自体が既にオールドファッションなのかも知れません。

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コメント

広告をすることと公益性は両立するはずです。
自治体でさえ広報誌を出しているわけで、情報提供をするから公益性が損なわれるというわけではありません。

そもそもアメリカの弁護士というと救急車を追いかけるというイメージがあるようですが、オバマ大統領に代表されるようにアメリカにも公益活動に熱心な弁護士はたくさんいます。

ただ、ビジネス系の弁護士も多いというだけのことです。

ビジネスという面と公益性という面の両方があるのは間違いないわけで、よほど酷い場合を除けば、個々の弁護士の良識にゆだねるべきでしょう。ビジネスとして成り立つのはそれを求める利用者がいるからで、そこを規制するなら、その部分はだれが担うのか?という問題になります。弁護士会がやるなら、弁護士会自体が営利を前面に打ち出した組織ということになってしまいますし、なおさら問題ありのような気がします。

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