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2009年12月の4件の記事

今年も1年、お世話になりました。

昨日で事務所の仕事納めも無事終了しました。

最終日は事務所の片付けでもして・・・と思っていましたが、朝イチで支部の裁判所に保釈金を納めに行ったり、午後からは急遽決まった和解の成立手続に行ったりと、結局最後までバタバタしてました。

年末は何かと急に決まることが多くて大変ですが、でも何とか年内に収まって良かったなとホッとする時期でもあります。

とにかく、今年一年が無事に終わったことを感謝したいと思います。

来年は今年よりもいい年になるといいですね。

皆様も、どうぞ良いお年を。

更に弁護士業務広告について

しつこいようですが、引き続き弁護士業務広告について。

なぜ、平成12年までは弁護士が広告を自己規制していたかと言うと、それは弁護士の職務内容に密接に関連していると思います。

弁護士の扱う仕事は、多くが人の悩みや苦しみに関連することです。一生に何度も弁護士に依頼するという人は(事業をやっている人はともかく)それ程多くはなく、大部分の人にとっては一生に一度依頼するかしないかでしょう。

そうすると、我々が取り扱う内容は、多くが「一生に一度の悩み事」だということになります。

そのような、人の悩みや苦しみに直接関与することの重さを認識し、そのことについて「畏れ」や「責任」を感じていなければならないのだと思います。

世間では、他人の悩み事や弱みにつけ込んで食い物にするような、いわゆる「事件屋」と呼ばれるような方もいます。そうした方に介入されると、問題は更に複雑化し、依頼した方にとっては二次被害の状況が生じます。

我々弁護士がそのような人たちと一線を画すのは、的確な法律知識と、正義感や人権感覚をおいて他にありません。

また、紛争当事者の方には、相手方に対する恨みや憎しみが前面に立って、ともすれば報復的なことを希望される方もいらっしゃいます。

そのような要望についても、法的に許される範囲内で的確に対処し、満足を得てもらえるようにしなければなりません。

したがって、事件そのものから一歩引いた目線を持っていることも必要になります。

そのようなことを考えると、事件を単にビジネスとして軽く扱ったり、事件にべったりになったりすべきではなく、ましてや自分から事件を追いかけるようなことは慎むべきということになります。

仙台弁護士会では、私が入会するよりも遙か以前に有名な冤罪事件がいくつかあり、その被告人の弁護には党派を超えて多くの弁護士がそれこそ手弁当で参加したという話を何度も先輩から聞かされました。

そうした活動も、弁護士業務を「商売」ではなく、「プロフェッション」であると強く自負していたからこそできたことだと思います。

こうなってくると、ことは弁護士業務広告だけの問題ではなく、弁護士としての職務のあり方全体に関わる話になってきますが、やはり弁護士業務を商業化していくことが全体としての職業倫理の低下につながることは否定できないと思われ、私としては抵抗を覚えます。

もちろん、広告を出していない弁護士の方が職業倫理が優れているとは言えませんし、依頼者とトラブルを起こしたり、懲戒にかかる人は大勢います。昔の弁護士のあり方が、ユーザーの方にとって「敷居が高い」「弁護士は 威張ってばかりいる」と批判されていたこともそのとおりです。

なので、私は弁護士もサービス業であることの自覚を持つことも必要であると常々思っていますし、若い弁護士さんとお話するような機会にはそういったことも言っています。

ただ、サービス業であるということは、例えば依頼者への説明を十分にしてコミュニケーションを大事にするとか、事務所に複数の弁護士が所属するようにして仕事の合理化・迅速化を図るとか、そういう方向で果たされるべきであって、TV広告を大量に流して多くの事件を引き寄せ、割りの良さそうな事件だけを引き受けてあとは切り捨てたり、事件を事務員に丸投げしたりするようなやり方はやはり弁護士倫理の根幹に反していると思います。

プロフェッションとしての面とサービス業としての面と、どちらにどの程度軸足を置いていくべきなのか、我々は今、大きな岐路に立たされているのではないかと思います。

引き続き弁護士業務広告について

前回に続いて弁護士業務広告についての私の考えを述べてみたいと思います。

平成12年に日弁連で弁護士業務広告が原則解禁された際、私は解禁にはあまり賛成ではありませんでした。

アメリカではアンビューランス・チェイサー(事件に困った弁護士が、事件を求めて救急車の後を追いかける)という言葉まであるそうですが、そんな風に弁護士が自分から事件を追いかけたり事件あさりをするようなことになると、弁護士への信頼が丸つぶれになると思っていたからです。

また、我々の仕事は法律扶助事件や国選事件など、単体ではあまりペイしそうにないボランティア的な事件でもやらなければなりません。もちろん、強制される訳ではないのですが、弁護士自治や法律事務の独占が認められている以上、そういうものもきちんと引き受けるということが職業倫理であるとして脈々と受け継がれてきた土壌があるからだと思います。

更には弁護士会内の委員会活動のように、全く無償でも社会のために必要と思うことについては調査研究をしたり声をあげたりなどもしています。

広告解禁によって弁護士業務が商業化していくことは、そういったボランティア的な活動の衰退(引いては職業倫理の荒廃)につながるのではないかと思っていました。

ただ、医師の世界でもインフォームドコンセントやセカンドオピニオンが重視されるようになるなど、今の時代はユーザー側の選択権が非常に重要になっており、我々専門職も、それを尊重しなければならない時代だと思います。

そのための方策として、業務広告が有益であることは事実でしょう。また、個々の弁護士にも営業の自由があります(あまり、弁護士業務を「営業」とは言いたくないのですが)。

実際、私の事務所もHPを持っていますし、こんなブログをやっているのも、私がどういう人間か、どういう考え方かを少しでもユーザーの方に知っていただき、その上でご依頼いただきたい方はご依頼いただくというのがお互いの幸せのためだと思っているからでもあります。

広告解禁前はもっぱら弁護士会が窓口になって弁護士を紹介するという形でユーザーのニーズに対応していた訳ですが、要は、総体としての「医師」なり「弁護士」なりという専門職それ自体を信頼してくれという「押し着せの信頼感」が社会にはもう通用しなくなっているのではないかと思います。

安心して任せられる弁護士もいればそうじゃない弁護士もいる、ということが前提で、それだから誰を選ぶかはユーザー側の自由な判断に任せて欲しいということなんだろうと思います。

そう考えると、現時点において、平成12年以前のように全面的な業務広告の禁止に戻るということは難しいと思いますし、私もそこまでいうつもりはありません。

ただ、弁護士業務の合理化・商業化が過ぎると、何らかの形で依頼者の方にしわ寄せが行ったり、不満の種になったりします。

一定程度、そういう状況が生じた事務所については、職業倫理の点からも、弁護士としての品位保持の点からも、弁護士会として一定の規制をするということも考えて良いのではないかというのが、前回の意見の趣旨な訳です。

あとは、広告の内容についても、例えば、いたずらに依頼者にとって良い結果を約束するようなものはもう少し厳しくチェックするなど内容面での規制強化もあっていいのではないかと思っています。

広告規制の問題は別としても、弁護士としての職業倫理は次の世代にもなんとか伝えていきたいとも思うのですが、そういう考え方自体が既にオールドファッションなのかも知れません。

弁護士業務広告について

全国クレジット・サラ金問題対策協議会などが、弁護士・司法書士によるクレサラ被害者の二次被害が増えているとして、弁護士らによる単独の業務広告の禁止を求める決議を出したそうです。

http://www.asahi.com/national/update/1207/TKY200912070306.html?ref=goo

日弁連では平成12年まで弁護士の業務広告を原則禁止していました。

これは、「弁護士が事件あさりをするようなことは品位にかける」、「弁護士業務はプロフェッションであり、商売にさせてはいけない」というような理念に基づいていたものと思います。

実際、昔は多くの弁護士がこのような理念を持っていたと思います(もちろん、弁護士の絶対数が少ないために広告の必要性が乏しかったという事情もあったかも知れません)。

しかし、市民の側に立つと、どの弁護士がいいのか、何が得意なのかといった情報が少なすぎるという声も多く、すったもんだの議論の末に平成12年に原則解禁になった訳です。

しかし、今のようなテレビ広告の状況をみると、昔の職業倫理というかプロ意識はどこに行ってしまったのかと思います。

それだけでなく、広告に多額の費用をかけているということは、その分、どこかで穴埋めをしないといけません。

弁護士の仕事は、同じような案件に見えても一件一件全部事情が違います。ひとりひとりの事情に合わせて最善の方法を考えるということは、本来は大量生産ができる仕事ではないのです。

広告を出して大量に定型的に処理をしようとすると、結局多くの部分を事務員に任せきりにするか(事務員への全部丸投げは弁護士法違反です)、逆に弁護士が対応する部分を多くすれば依頼者からいただく費用に広告費分を上乗せするかせざるを得なくなっていくでしょう。

実際、そういうクレームも増えているらしく、だから今回の決議にも至っている訳です。

私は、ユーザーである市民の方向けに弁護士の情報を発信することは決して悪いことではないと思っていますし(だからブログもやっている訳で)、今流れているようなテレビ広告も、それまで全くどうしていいかわからなかった人が何人かでもそれによって救われたとするなら、ユーザーの利益にかなっている面もあるのかとも思います。

ただ、弁護士業務の特性を考えると、やみくもに客集めをするような広告については、やはり何らかの規制があった方がよいと思います。たとえば、過去に懲戒を受けたり、弁護士会への苦情申立件数が一定件数を超えた弁護士の事務所は何カ月かメディアへの広告掲載を禁止するとか。

これから、さらに弁護士人口が増える中で、無秩序な広告合戦が広がるようなことだけは避けてもらいたいですね。

もっとも、大きく広告を出しても経済的にペイしそうなのは過払金請求くらいのもので、それももうピークを過ぎてきたことからすれば、弁護士業務広告も間もなく自然に下火になっていくのかも知れませんけどね。実際、過払金がこれほどメジャーになる前は全国的にテレビCMを出そうなどという事務所はほとんどありませんでしたから。

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