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きよしこ:重松清

久々に胸に突き刺さる本でした。

吃音という障がいを持つ1人の少年の心の成長を描いた物語です。

少年が小学校1年生から高校を卒業するまでの間のいくつかのエピソードを、それぞれの物語にした短編集という形式になっています。

はじめの方こそ、障がいに伴う激しい心の揺れが描かれる場面もありますが、全体としてはとても落ち着いたトーンで、ことさら少年の葛藤や苦悩を際だたせることもなく、障がいに伴ういろいろな問題を浮き上がらせるわけでもなく、少年がいろいろな人との出会いの中で、あるがままの自分を受け止めて自立していく様子を静かに静かに描いています。

障がいのあることは(辛いことではあるけれども)決して特別なことではなく、世間から同情されるようなことでもなく、それぞれの人間の個性の違いと同じようなものとして、自分自身が受け止めていくしかないのだというメッセージが込められているように感じました。

私たちもみな、何らかの弱さや悩み・苦しみを抱えて、どうにかそれと折り合いを付けながら生きています。主人公の少年が抱える障がいとは比べようもないとは思いますが、誰もが、自分の中の弱さやコンプレックスと闘い、静かにそれを受け入れていく過程がきっと少年時代なのだと思います。そしてその闘いは大人になってもずっと続いているものなのかも知れません。

この作品は、誰の心の中にもある、そんな成長の過程を少年の姿(それは実は作者自身の姿でもあるようなのですが)を借りて描き出しているところに共感を感じさせられるのでしょう。

「きよしこ」という一風変わった、でもどこかで聞いたことがあるような気もする言葉の意味は、冒頭部分ですぐ明かされます。それには切なくも悲しい意味が隠されています。

物語の主人公と同年代の少年たちに、そして、少年時代を遠く過ぎてしまった大人たちにも、是非読んでもらいたい作品だと思います。

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