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債務整理の壁(だったもの)

近時、過払金返還請求が花盛りですが、債務整理がここまで一般化するためには苦難の歴史がありました。

2つの大きな壁があったのです。

1つは利息制限法と出資法という2つの上限金利です。

利息制限法では貸付利息は金額に応じて15~20%と定められています(通常の数十万円程度のものは18%)。しかし、これには罰則がなく、超過した金利で貸し付けても、超過部分についての支払約束は無効とされるものの、処罰されることはありません。

これに対して、出資法では貸金業者の上限金利を29.2%(2000年6月までは40.004%)とし、それに違反した場合は罰則もあります。

そのため、貸金業者はいずれも利息制限法の上限金利ではなく、罰則のある出資法の上限金利の範囲内で貸付をしてきている訳です(これがいわゆるグレーゾーン金利と呼ばれるものです)。

もう1つの壁(こちらが最も大きな壁だったのですが)が、貸金業規制法43条です。これは、借主が利息制限法の上限金利を超える金利を支払った場合でも、借主が任意に支払った場合で、貸金業者側が一定の書面を交付しているなど所定の条件を満たす場合には、その返済は有効な返済になる(即ち、違法無効な利息も有効になってしまう)というものです。

この条文を巡っては弁護士と貸金業者との長い長い戦いの歴史(私が弁護士になるよりもっともっと前からです)があり、何とかこの条文を骨抜きにしようということで、各地の消費者弁護士がいろいろと頑張って来ました。仙台の弁護士も多くの人が精力的に戦った来ました。

訴訟では、契約書の内容やその他借り主に交付した書面の細かい不備を弁護士側が突いて、なるべく43条を適用させないようにしてきた訳です。もちろん、貸金業者側の抵抗も激しいものがありました。

しかし、それが徐々に身を結び、各地の判例でも43条はほとんど適用場面がないというほど限定されてきていたのですが、その極めつけが最高裁平成18年1月13日判決です。これは、「1回でも分割払いの返済を怠ったら期限の利益を失って即時全額を返さなければならない」という契約条項がある場合には、借主は事実上約定通りの返済を強制されているので、貸金業規制法43条に言う「任意に支払った」とは言えないと判断したものです。

このような契約条項はほぼ100%の業者の契約書に入れられているため、この最高裁判例に従えば、全ての契約においてもはや43条の適用はほぼ不可能ということになります。

ここに至って、43条の壁はようやくほぼ乗り越えたと言ってよいのでしょう(ただし、まだまだ残された問題は少なくはありませんが)。

また、いわゆるグレーゾーン金利については、2006年に成立した改正貸金業法により2009年12月頃以降については認めないことになりました。

世間の皆さんから見ると、今までどうしてこんなことがまかり通っていたのだろうと思われるかも知れませんが、それにはこんな歴史もあった訳です。

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